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早期英語教育の必要性はさまざまな場所で聞かれます。特に近年では、文部科学省により小学校での英語学習年齢が3・4年生からに引き下げられたこともあり、よりいっそう英語の早期教育の必要性が叫ばれています。しかし、本当に早期英語教育は必要なのでしょうか。本記事では、早期英語教育の必要性やメリット・デメリット、より効果的とされる「イマージョン教育」についてご紹介します。
文部科学省の方針
文部科学省は「今後の英語教育の改善・充実方策について」の中で、国際共通語である英語力の向上は、グローバル化の進展の中で日本の将来にとって極めて重要であると述べています。アジアの中でもトップクラスの英語力を目指し、現在の学生たちが社会で活躍する2050年ごろには日本国内でも多文化・多言語・多民族化するであろうことを見据え、コミュニケーションに困らないようにする必要がある、としています。
2020年の教育改革は日本政府にとって戦後最大の教育改革と言われていますが、学習指導要領が大幅に変更され、小学3・4年から年間35単位もの授業数が「外国語活動」に割り当てられました。さらに、これまで外国語活動として英語に触れていた小学5・6年生では正式に英語が教科として追加され、成績がつけられるようになったのです。
また、英語を単に知識として身につけるだけでなく、中学校・高等学校ではよりコミュニケーション能力を重視し、「英語を使って何ができるようになったか」を意識することや、英語4技能(スピーキング、ライティング、リーディング、リスニング)をバランスよく身につけることが求められるようになりました。
日本の英語教育、英語力の現状
では、一方で日本人の英語力の現状はどの程度なのでしょうか。日本でTOEIC Programを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)によれば、2020年の日本の平均スコアは531で、中国にはあと一歩というところであるものの、韓国やインド、香港や台湾など多くのアジアの国々にまだ届いていません。年間の総受験者数が500名以上の32カ国中、27位という結果で、まだまだ低い状況にあります。
もちろん、上記の結果に英語のネイティブ圏の国は含まれていません。先進国の中でも日本人の英語力は低いと言われていますが、アジアの中でもまだまだ低いのが現状と言えるのではないでしょうか。このような現状も踏まえると、文部科学省の教育改革によって今までよりもさらに高度な英語能力が求められるようになってくることは必然とも考えられます。
早期英語教育の必要性
このように、文部科学省の方針からも、日本人の英語力の現状からも、英語能力の向上は非常に大きな課題の一つだと考えられています。しかし一方で、早期英語教育の必要性を疑問視する声もあります。早期英語教育は、以下のようなポイントで必要性が高いと考えられます。
・言語習得は9歳までが重要
・早く始めればそれだけ必要な学習時間を確保できる
・異文化を学び、SDGsなどで求められる多様性に対応できるようになる
まず、言語学習の臨界期と言われる9歳までに英語にある程度触れておくことで、英語力が高まると考えられています。臨界期には諸説ありますが、脳に刺激を受けたとき、効果が最大限に現れるとされる時期のことで、それが9歳までなのです。つまり、効率的に英語を学ばせようとするなら、9歳までに英語に触れさせておくのが良いでしょう。
また、第二言語を習得するのに必要な時間は、2000時間〜3000時間とも言われており、これに対して小学校から高校までの授業で行われる英語教育は1000時間程度とされています。つまり、第二言語を習得するためには、小学校から高校までの時間では圧倒的に足りないのです。早くから英語教育を始めておくことで、英語学習に必要な時間を確保できます。
さらに、早くから英語という他言語、英語の歌や絵本など異文化に触れておくことで、多様性を受け入れやすくなります。近年よく聞かれるSDGsの中でも、ダイバーシティ(多様性)が重視されていますが、グローバル化する世界の中で、異文化を受け入れる多様性を身につけるなら、考え方が柔軟な子ども時代からの方が圧倒的に有利でしょう。
早期英語教育のメリット・デメリット
ここでは、早期英語教育がもたらすメリット・デメリットについて、項目別に紹介します。
早期英語教育のメリット
まずは、早期英語教育のメリットから見ていきましょう。
英語脳、英語耳が身につく
前述のように、言語習得には9歳までの「臨界期」があるとされています。しかし、日本の学校教育における英語教育は、小学校3・4年生からであり、小学校3年生になってまだ誕生日を迎えていない一部の子どもを除けば、9歳を超えてから始まってしまいます。そのため、「英語脳」や「英語耳」が身につきにくいのが大きな問題です。
英語脳とは、英語で聞いたり話したりするときは英語で考え、いちいち日本語訳を介さない脳の回路のことを言います。頭の中に日本語脳しかないと、いちいち英語を日本語に訳し、訳した日本語を再度英語に訳す、という過程を辿るため、脳内変換に時間がかかりすぎてスムーズに英語でコミュニケーションできないのです。
また、英語耳とは、英語の発音を正確に聞き分ける能力のことを指します。日本語と英語では使っている周波数が異なるため、幼児期に英語の発音に触れたことのない日本人が大人になってから英語を習得しようとしても、発音の面で大きな壁にぶつかってしまうのです。逆に言えば、幼児期など早期に英語教育を始めておけば、英語を正確に聞き取り、発音できる力も身につきやすくなるでしょう。
このように、早期英語教育によって英語脳、英語耳が身についていれば、英語で話したり書いたりするときは英語で、日本語で話したり書いたりするときは日本語で考える脳の回路ができ、スムーズなコミュニケーションが可能になると考えられます。
英語への抵抗が生まれにくくなる
英語を小学校や中学校の授業から始めると、どうしても勉強するものという考え方になってしまいます。勉強というだけで嫌いな子どもは多いものですし、「やらされている」という意識になってしまう子も少なくありません。しかし、早期英語教育によって日常生活の中で英語を使う環境があれば、日本語を学ぶように自然と英語を学ぶことができます。
特に、中学校や高校では大学受験や資格試験の対策が多く、筆記試験で重要な項目を学ぼうとするあまり、リスニングやスピーキングなどのコミュニケーションスキルを身につけにくい傾向があります。これについては文部科学省の方針として今後変わっていくことは予想されますが、それを待っているうちに子どもはどんどん成長してしまいます。英語が勉強になる前に、英語に抵抗感なく親しめる環境を用意してあげることも必要ではないでしょうか。
ネイティブに近い発音を習得しやすい
上記のような英語脳、英語耳が鍛えられ、日常生活の中で英語を使えると、当然、ネイティブが使うのと同じような感覚で英語を使うため、発音もネイティブに近くなることが期待できます。特に、2歳から5歳の間は耳からの情報を吸収しやすい時期でもありますので、ネイティブに近い聞き取りや発音を身につけ、「英語耳」を育てるためには、この時期の教育が非常に重要だと言えるでしょう。
英語という言語にまつわる性質を獲得できる
英語という言語は、日本語という言語と性質が全く違います。それは単純な文法や語彙の違いではなく、感情や思考の表現方法など、性格やライフスタイルにも密接に関わってくることです。英語を学ぶことで、英語という言語がもつ性質、英語圏の文化を体験として獲得できます。
例えば、挨拶の仕方や敬語表現などをとっても、日本語と英語は大きく違います。幼い頃から歌や絵本などを使って英語圏の文化に親しみ、異文化を体験しておくことで、多様性に寛容な国際感覚を身につけることができるでしょう。大人になってから理屈で理解するのではなく、幼い頃から肌感覚で理解しておくことが重要なのです。
早期英語教育のデメリット
しかし一方で、早期英語教育にはデメリットもあると考えられています。そこで、早期英語教育のデメリットとして指摘されている内容についても確認しておきましょう。
ゼロリンガル、セミリンガルになるリスクがある
英語も日本語もと欲張った結果、どちらも十分に習得できず、中途半端になってしまうリスクがあります。どの言語も十分に使えない人を「ゼロリンガル」、中途半端にしか使えない人を「セミリンガル」と言いますが、早期英語教育によってゼロリンガルやセミリンガルになってしまうリスクがないとは言い切れません。
英語の早期教育を始めてみたはいいものの、第一言語、すなわち母国語である日本語が十分に習得できないのは本末転倒と言えるでしょう。2つの言語を同時に学ぶことで、子どもが混乱してしまい、各言語での論理的思考力が養われず、あるレベル以上には伸び悩んでしまう、という可能性があるのです。
日本文化や常識に疎くなってしまう
英語圏の文化を学べることは多様性への寛容さを持つ上で大きなメリットになるとお話しました。ここで英語と日本語、双方の性質を十分に獲得できれば良いのですが、英語だけに偏る、あるいは両方とも中途半端になることにより、生まれた国である日本の文化や常識をよく知らないという状態に陥ってしまう可能性もあります。また、そこから自分は何者なのかというアイデンティティの崩壊にもつながりかねません。
子どもに英語学習を強要してしまう
親が必要以上に子どもに英語習得を期待し、英語学習を強要した結果、楽しんで学ぶことができないのに無理矢理学習させてしまい、子どもが英語に対して苦手意識を持ってしまうことが考えられます。特に、遊びたい子どもに対して座学などを無理矢理行わせると、英語学習に対して苦手意識を持ちやすくなってしまうでしょう。
早期英語教育のデメリットを解決するには?
では、早期英語教育のデメリットを解決するにはどのような方法があるのでしょうか。上記でご紹介したデメリットに対し、解決策を見ていきましょう。
ゼロリンガル、セミリンガルにならないために
順調に英語と日本語を習得していくためには、どちらの言語に対しても「学習している」という意識を持たせすぎず、あくまでも日常生活の中で言語を習得していくことが重要です。デメリットの最後にお話した学習強要になってしまうことも、ゼロリンガルやセミリンガルのリスクを高めてしまいます。
後述するイマージョン教育などともつながりますが、日常生活の延長として、言語を本来の学習意義であるコミュニケーションツールとして学ぶためには、どちらの言語もバランスよく、かつ、楽しく学んでいく必要があります。例えば、親子で読み聞かせや一緒に英語学習を楽しむなど、さまざまな方法で楽しみながら英語を学びましょう。
日本人らしく生きるために
日本語圏では協調性を重視し、目立つことを嫌い、規律を守るなどの文化的特性があります。一方、英語圏では自主性を重んじ、主体性や個人主義が求められます。デメリットの面でお話したように、英語圏の文化を学ぶあまり、母国である日本の文化や常識をあまり知らない、というように偏ってしまっては多様性になりません。
どちらかに偏るのではなく、双方を両立して学び、日本語圏と英語圏、双方の文化の良いとこどりができるようにするのが良いでしょう。日本では日本人らしく振る舞うこと、日本の慣習や常識を理解しておくことで、自らのアイデンティティ確立になるとともに、いじめなどの不利益を防ぐことにもつながります。
英語教育が強要にならないために
子ども自身が英語教育を楽しいと思えていないのに、親が期待をかけて座学などをさせていると、英語教育の強要になってしまいます。英語教育を強要にしないためには、日常生活の中に英語を取り入れ、歌や絵本、日常会話の中で英語を習得していくべきでしょう。ポイントは、日本語を学ぶのと同じように英語を学ぶことを意識することです。
そのためには、英会話教室など、日常生活の中で英語だけを使う時間があると良いでしょう。英語だけを使ってコミュニケーションを行い、歌や絵本など楽しめる教材を使えば、日本語を学ぶのと同じように英語を学ぶことにつながります。英語習得に必要な時間を確保することにもなるでしょう。
早期英語教育で効果的な「イマージョン教育」
前章の日常生活に英語を取り入れることともつながりますが、子どもを英語の環境にイマージョン=浸からせることで、コミュニケーションそのものとして英語を学べます。子どもが本来、言語を獲得するのは周囲の大人の真似をしながら直感的に学んでいくためで、日本で育った子どもが日本語を自然と話せるようになっていくのはこの方法で学んでいるからです。
つまり、イマージョン教育を行えば、本来の獲得方法で言語を習得できるため、子どもにとって負担がかからず、勉強にならずに英語を学ぶことができます。一般的な家庭ではこのイマージョン教育、双方向のやりとりは非常に難しいため、イマージョン教育において英会話教室は非常におすすめです。
早期英語教育には必要性がある。特にイマージョン教育がおすすめ
日本人の英語力は、アジア諸国の中でも高い方とは言えません。文部科学省はこれを危惧し、ますます多文化・多言語・多民族化していくであろう日本において、コミュニケーション能力を中心として英語4技能を伸ばしていくことを求める方針を掲げました。英語の早期教育には賛否両論ありますが、デメリットを意識してしっかり解消するようにすれば、臨界期前に英語に触れられる、十分な学習時間を確保できる、多様性に寛容になれるなどのメリットを多く教授できます。
デメリットの解決策の中で、英語教育が強要にならないことが重要だと話しましたが、子ども向けの英会話教室などを利用すれば楽しみながら英語を学べ、デメリットの一つを解消できます。明光キッズeなら、オールイングリッシュによるイマージョン教育の時間にもなりますので、ぜひ一度ご検討ください。
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