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英語教育改革とは、2020年度に10年ぶりに大幅に改訂された学習指導要領の中でも特に抜本的な改革がなされた英語教育についてのことを言います。ますますグローバル化が進む国際社会において、英語教育はどのように変化し、どのような課題が残っているのでしょうか。大きく変化した英語教育に対応するため、早期教育が必要なのかどうかについても解説します。
英語教育改革とは
英語教育改革の背景
2020年度、学習指導要領が10年ぶりに大幅に改訂されました。中でも英語は、これまで日本における英語教育では読み書きや受験英語に重点が置かれていて、実践的なコミュニケーションツールとしての英語が身につかないという指摘のもと、英語でコミュニケーションがとれる国際社会でも活躍出来る人材を育てるべく、抜本的な改革がなされました。
そもそもは2020年に行われる予定だったオリンピック・パラリンピックに合わせた英語教育の改革でしたが、現在学生である子どもたちが社会で活躍するであろう2040年ごろには、さらなるグローバル化が進み、国際社会の共通言語ともなっている英語の重要性が今よりももっと増していることは想像に難くありません。
そこで、単なる文法や単語の知識だけでなく、英語で日常的に受け答えが出来るコミュニケーション能力や、討論・プレゼンテーションが出来るビジネススキルなどが求められると予想されます。こうした背景を鑑みて、英語を知識でなく言語として、コミュニケーションツールとして活用出来る人材を育てるべく、英語教育の大幅な改革がなされたのです。
英語教育改革の概要
英語教育改革は2020年度に急に始まったことではなく、実は2018年度から2024年度まで時間をかけて段階的に行っていくスケジュールが組まれています。具体的には、以下のようなスケジュールが示されています。
今回の教育改革では、コミュニケーションを特に重視していることに加え、英語の4技能と呼ばれる「読む・書く・聞く・話す」をバランスよく伸ばしていくことが目的とされています。これまでの日本の英語教育は「読む・書く」に偏っていたことが指摘されているため、今後はより「聞く・話す」の音声学習に力を入れた英語教育になるでしょう。
また、英語レベルの評価・指標にCEFR(Common European Framework of References for Languages、ヨーロッパ言語共通参照枠)を導入することも改革の中に入っています。CEFRは国際的に用いられている英語の運用能力の基準であり、具体的に「英語を使って何が出来るか」を評価出来るため、英語を学ぶことではなく英語を使うことが目的の教育にとって、非常に重要な指標だと言えるでしょう。
参照:BRITISH COUNSIL「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)」
英語教育改革で変わること
では、英語教育改革で変わることを、小・中・高別に詳しく見ていきましょう。
英語教育改革【小学校編】
これまでも、2011年以降は小学校5・6年生で「外国語活動」という体験型の授業が行われてきました。その「外国語活動」が小学校3・4年に前倒しされ、週に1コマ、英語に触れる時間が追加されます。この「外国語活動」はあくまで英語に親しむことが目的であり、「聞く」「話す」の音声活動、コミュニケーションを中心とした活動です。あくまでも教科ではなく体験という形なので、成績がつくものではなく、検定教科書も使われません。
例えば、小学校3年生では挨拶の仕方を学び、表情やジェスチャーをつけながら挨拶したり、数を英語で数えたり、好きな色やスポーツなどを交えた自己紹介、身近なものの説明などが出来るようになること、小学校4年生では曜日や時刻、天気の言い方やたずね方、絵本程度の短い話を聞いて内容を理解することなどが目標とされています。
小学校5・6年生からは、正式な教科として英語の授業が始まります。学級担任に加え、英語の専門教員も積極的に活用し、週2コマの授業で検定教科書を使い、しっかり成績もつくことになります。外国語活動でまず英語に親しんだ後、5・6年生では英語によるコミュニケーションスキルの基礎を養うことが目的です。
小学校3〜6年生の授業を通じ、600〜700語くらいの語彙を習得することや、文法も疑問詞・代名詞・助動詞・動詞などの過去形などを使った基本的な表現を学ぶことが目標とされています。また、小学校5年生からは45分の授業を3回に分けて15分ずつの授業で反復学習を行う「モジュール授業」も採用され、より定着をはかる工夫がなされています。
英語教育改革【中学校編】
中学校の英語の授業でも、やはり「聞く」「話す」の音声コミュニケーションにかかわる技能が重視されるようになり、授業は基本的にすべて英語で行う、という方針が文部科学省から示されています。これは、授業内でのコミュニケーション全般が原則として英語で行われることを示し、生徒から教師への質問も、生徒同士のやりとりもすべて英語ということになります。
授業そのものをコミュニケーションの場面として「オールイングリッシュ」で英語を使う場面を増やすことにより、これまでは英語を習っても実際に会話の中で使う機会がなかったという日本の英語教育のウィークポイントを補う形になります。実際に話すことに抵抗感をなくしたり、知識の定着をはかったりするのも大きな目的の一つです。
また、これまで中学校では1200語の語彙を習得することが目標とされていましたが、新学習指導要領では1600語〜1800語を目標とし、従来は高校で学習していた現在完了進行形、原型不定詞、仮定法などの文法の習得も加わります。話せる内容を増やすため、時事ニュース、自分が興味のある話題などを取り上げて発表する機会も組み込まれるようです。
英語教育改革【高等学校編】
高校でも、やはり中学校と同じように英語の授業中はコミュニケーションをすべて英語で行う「オールイングリッシュ」が基本となります。小学校・中学校で培ってきた4技能をもとに、さらなる発展・高度化した授業が行われます。例えば、ディスカッションやディベート、プレゼンテーションなどを英語で行えるようになることです。
ほかにも、シャドウイングやオーバーラッピングなど、英語の発音を重視したり、ネイティブ講師を交えてチームティーチングを行ったり、アカデミックなテーマの英語原書を使ってより高度なリーディング訓練を行ったりと、4技能をさらに伸ばしていく取り組みが行われます。目標は、ネイティブとも流暢なやりとりが出来ることです。
小学校英語教育の課題
前述のように、英語について大幅な改革が行われることになりました。しかし、大幅であるがゆえに懸念されている問題もたくさんあります。ここでは、小学校英語教育で懸念されている課題について解説します。
人材不足
小学校で授業を行うのは、主に学級担任です。しかし、現職の教員は外国語指導を学んでいないため、教員の人材不足が最大の問題とされています。学級担任は児童と過ごす時間が長く、他教科も教えることから、外国語活動や英語指導に生徒の関心の高い話題や、他教科と連動した内容を加えることも出来るメリットもあるでしょう。
しかし、外国語指導を学んでいない以上、教員の英語スキル、英語を教えるスキルが非常に大きな課題となります。研修を通じて指導力を強化したり、そもそもの英語力を高めたりする必要があると考えられていますが、日々の職務に加えて研修を受けることは現職の教員にとって大きな負担となります。オンライン研修なども考えられていますが、この人材不足をどう解消していくのかは最も大きな課題でしょう。
地域格差
英語教育を小学校に導入すると決めたはいいものの、前述の人材不足も含め、教育の機会均等の確保が不十分であるという指摘があります。文部科学省は人材不足の問題について、まずはネイティブのALT(外国語指導助手)や地域において英語が堪能な人材を活用するなどして、指導体制を充実することを求めています。
しかし、実際にALTや地域人材を確保出来るかどうかにはどうしても大きな地域差があります。そもそも地域によって人材が少ないという問題もさることながら、予算の確保が難しいことも問題となっています。学級担任に加えてネイティブや英語が堪能な人材による指導を受けられる生徒と、学級担任だけにしか指導を受けられない生徒では、学習機会の均等が確保出来ているとは言えないのではないでしょうか。
小・中学校の連携不足
小学校で学んだ内容を中学校に引き継げるよう、小学校と中学校で連携しなくてはなりませんが、これも地域差が大きいことが問題となっています。100%近く連携出来ている地域もあれば、50%も連携出来ていない地域もあります。このように連携が出来ず学習が一度途切れてしまうと、中学校での学習内容に差が生まれ、学力の格差が生じてしまうことが懸念されています。
英語教育改革で早期英語教育は必要か
英語教育改革では、小学校から高校まで、コミュニケーション力を身につけるための英語教育が行われるようになります。そのため、より早期から英語に触れておくことで、以下のようなメリットが考えられるでしょう。
英語への抵抗感が薄れる
小・中学校で「授業」の一環として英語を学習することで、英語=勉強の意識がついてしまい、抵抗感を持ってしまう子どもも一定数います。また、成長するにつれ「皆の前で英語を話すのがはずかしい」と思ってしまう子どもも少なくありません。
しかし、幼児期から英語に触れておくことで、勉強ではなく遊びとして、または日本語を習得するのと同じ状態で英語に触れられるため、英語や英語を発話することに対する抵抗感が薄れるという大きなメリットがあります。
英語耳や発音の訓練になる
英語を聞き取ったりネイティブに近い発音をするためには、耳からの情報を吸収しやすい2〜5歳の間の教育が重要とされています。英語の音は1808音、日本語の音は108音ともされ、英語の方が圧倒的に音が多いのです。つまり、よく言われる「英語耳」は、日本語だけを聞いて育ってきた日本語話者と比べて言語として聞き取れる音の範囲が広いと言い換えられるでしょう。
特に、英語では日本語で使わない音やリズムを多く使うため、2〜5歳の間に英語の音声をたくさん聞かせ、真似させることで、ネイティブに近い聞き取り、発音を習得出来る可能性が高いとされています。将来的に高校ではネイティブと流暢なやりとりをすることが求められている点を考えても、早く聞き取りを初めておくに越したことはないでしょう。
イマージョン教育で日本語と同じように学べる
イマージョン教育とは、「イマージョン=浸かる」というように、英語だけの環境に子どもたちを「浸からせ」て英語を覚えさせる教育方法のことです。具体的には、英語だけを使って授業や日常会話などのコミュニケーションを行い、ほかの教科なども英語で学ぶことで、子どもは大人の真似をしながら母語を学ぶのと同じように英語を学ぶことが出来るのです。
また、英語習得に必要な時間は約2,000時間〜3,000時間ともされています。しかし、新学習指導要領であっても、学校で英語を学べる時間は約1100時間程度です。つまり、残りの時間はどこかで補完する必要があります。幼児期からイマージョン教育の時間をとっておけば、英語習得のために必要な時間を確保しやすいでしょう。
英語教育改革に備え、英語でコミュニケーション出来る子どもを育てよう
英語教育改革により、今後はコミュニケーションに重点を置いた英語教育が行われます。そのためには、英語を使うこと、すなわちアウトプットに抵抗感を持たないことや、英語を目的ではなく手段として使うことに慣れることが重要です。
明光キッズeでは、ネイティブ講師とバイリンガル講師によるオールイングリッシュの学習時間が最大1日5時間確保出来ます。少人数の学童保育なため、子ども一人ひとりの成長を見守れるほか、英検(R)の取得も同時にでき、子どもの自信をつけることができます。イマージョン教育の一環として、ぜひ一度ご検討ください。
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